名曲が生まれ変わる瞬間
リンダ・ロンシュタットは、原曲の何を残し、何を変えたのか。ストーリーを読みながら、原曲とカバーを聴き比べます。
— 楽曲を選択 —
Notte e giorno faticar (Diabelli Variations, Op. 120: Var. 22)
NEW先行するモーツァルトの著名なオペラ・アリアを換骨奪胎し、低俗とみなしたディアベリの主題構造を痛烈に風刺しながら高次なピアノ芸術へと昇華させた音楽史的パロディの極致。
ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
NEWヘンデルの簡潔なバロック・アリアを、25の性格変奏と壮大なフーガへ昇華。古典の様式美とロマン派の推進力が完全燃焼した、変奏曲史における金字塔。
ディアベッリ変奏曲
NEW軽薄な大衆ワルツを極限まで解体・再構築し、荘厳な行進曲から天上的なメヌエットまでを凝縮した、音楽史における動機解体の金字塔。
第30変奏 クォドリベット(大衆俗謡の再定義)
NEW酒場の鼻歌を教会・宮廷の最高峰であるポリフォニーへと合流させ、厳格な数学的秩序をあたたかな人間味で包み込んでアリアへと還流させるバッハ流の再定義。
Goldberg Variations, BWV 988
NEW18世紀バロックの室内鍵盤曲を、極限まで乾いた打鍵とスタジオ編集思想によって20世紀のモダン・アート/音響構築物へと不可逆更新した決定打的録音。
Tennessee Waltz
ヒルビリー/カントリー局地の素朴なダンス曲を、革新的な多重録音技術と洗練されたクルーナー唱法で世界標準のポップ・クラシックへと塗り替えた歴史的テイク。
洒落男
米国のナンセンス・ソングを、浅草のエスプリと日本独自のモボ風刺へ不可逆に換骨奪胎した和製ジャズ歌謡の原点。
花はどこへ行った
集会の循環詩を、都会的な三部ハーモニーとアコースティック対位法で磨き上げ、60年代フォーク・リバイバルを牽引する全米規模のスタンダードへと昇華させた決定打。
Summer (Vivaldi's Four Seasons)
18世紀ヴェネツィアの嵐の情景を、90年代スピードメタルの破壊的身体性と高速ギターピッキングで暴虐に叩き直した極限のネオクラシカル再定義。
This Night
ウィーン古典派の崇高なアダージョを、街角のストリート・ハーモニーと80年代プロダクションで見事に鳴らし直した、鮮烈なポップス再定義テイク。
Rain and Tears
眠れる古典対位法をポップスの循環コードへと不可逆変換し、後世の「カノン進行ポップス」の潮流を決定づけた歴史的再定義テイク。
悲しい酒
先発の男性歌手による歌唱から、曲中の台詞挿入や陰影豊かな解釈によって、日本の歌謡・演歌史における最高峰の女性哀歌へと再構築した決定打。
Io che non vivo (senza te)
ピノ・ドナッジオによる哀愁のカンツォーネが、ダスティ・スプリングフィールドの手によって英米ポップス史に残る壮大なソウル・バラードへと劇的に再定義された名作。
The Windmills of Your Mind
ミシェル・ルグラン作曲のアカデミー賞受賞劇中歌を、ダスティ・スプリングフィールドがアメリカ南部メンフィスの音響空間で妖艶なソウル・バラードへと再定義した歴史的録音。
Rock and Roll Music
チャック・ベリーが1957年に宣言したロックンロールのマニフェストを、ザ・ビートルズが1964年のアルバム『Beatles for Sale』で猛烈なガレージ・エナジーとともに再爆発させた決定打的テイク。
A Change Is Gonna Come
荘厳なシネマティック・ソウルの希望賛歌が、メンフィス発サザン・ソウルの泥臭い魂の絶叫として再定義された。
The Coo Coo Bird
アパラチアの孤高の山岳民謡が、1960年代後半の西海岸サイケデリック・ロックへと脱文脈化・再定義された。
Symphony No. 9 in D minor, Op. 125
西洋音楽の至宝が、戦後日本の「年末の第九」という市民参加型の年中行事へと脱文脈的に再定義された。
Lady Jane
米南部の素朴な山岳民族楽器が、ブリティッシュ・インヴェイジョンの宮廷バロック・ポップへと逆輸入・再構築された。
A Case of You
山岳共同体の素朴な民俗楽器が、1970年代ウェストコーストの内省的シンガーソングライター表現の頂点へと再定義された。
戦争の親玉
60年代の静かな弾き語りプロテストが、90年代オルタナ世代の生々しいアコースティック咆哮へと再定義された。
オクラホマ・ミキサー
アパラチアのフィドル・ブレイクダウンが、戦後日本の教育・レクリエーション規格『オクラホマ・ミキサー』へと再定義された。
ジョン・ヘンリーのバラッド
口頭伝承の労働バラッドが、ジョニー・キャッシュの叙事詩的コンセプチュアル・カントリーへと再定義された。
セントルイス・ブルース
楽譜として流通していた初期ブルースが、ベッシー・スミスとルイ・アームストロングの名演によりジャズ・ブルースの不滅のスタンダードへ再定義された。
蛍の光
旧友との再会と新年を祝うスコットランドの乾杯歌が、明治の近代化政策を通じて「学問の成就・別れ・日常の閉店合図」へと180度反転して土着化した。
アフター・ザ・ボール(舞踏会のあとで)
パーラー・ワルツのメガヒットが、ブロードウェイ・ミュージカルの劇的ナンバーへと再定義された。
Million Roses
母娘の静かな哀愁を歌ったラトビアの人生賛歌から、全財産を薔薇に変えて捧げた画家の情熱的な悲恋物語へと劇的に変貌した。
Passion Flower
ベートーヴェン由来の米ポップ曲が、ヴァレンテ経由のフランス語盤を経て、ザ・ピーナッツの双子ヴォーカルで日本語ヒットへ再定義された。
Diana
カナダ発のティーン・ロックンロールが、日本語訳詞とロカビリー歌唱によって日本の若者文化へ移植・再定義された。
丸の内音頭
丸の内界隈の盆踊り歌が、東京全体のご当地音頭へ改題・再配役され、昭和の都市盆踊りの定番として再定義された。
Will You Love Me Tomorrow
1960年に黒人女性ボーカルグループのシュレルズが歌い全米1位を獲得したブリル・ビルディング・ポップスの金字塔。1971年に作曲者キャロル・キングが『つづれおり』でテンポを落とした内省的なピアノ弾き語りとして自作自演し、職業作家からシンガーソングライターへの脱皮を象徴する再定義を遂げた。
(You Make Me Feel Like) A Natural Woman
ジェリー・ウェクスラーの着想のもとゴフィン&キングがアレサ・フランクリンのために書き下ろし、1967年にゴスペル仕込みの圧倒的ダイナミズムで録音されたソウルの金字塔。1971年にキャロル・キングが『つづれおり』でセルフカバーし、日常に寄り添う親密で等身大のフォーク・ポップへと再解釈した。
Ain't That a Shame
ファッツ・ドミノが放ったニューオーリンズR&Bの金字塔。パット・ブーンによる白人向けポップス漂白カバーを経て、70年代末にチープ・トリックが武道館の熱狂とアリーナ・ハードロックへ再定義した決定版。
Long Tall Sally
ジョージア黒人教会のファルセット・シャウトとピアノの打楽器連打から生まれた8ビートの怪物が、1962年の邂逅を経てリバプールの4人組ギターロック編成へと不可逆再定義された決定的瞬間。
Stand by Me
1905年のゴスペル讃美歌が、ベン・E・キングの手によって世俗的なソウル・バラードへ再定義され、普遍の連帯を歌うアンセムとなった。
東京ブギウギ (Tokyo Boogie Woogie)
横浜波止場ネットワークの Crucible 相。笠置のブギを、ひばりが巡業現場で身体化した瞬間。
Twist and Shout
米国R&Bを、ハンブルク現場で鍛え上げたビートルズがタフな高速ロックンロールへ変異させた波止場ネットワークの Crucible 相。
My Blue Heaven
1927年のサロン・ポップスが、1956年の R&B で跳ねる大衆ヒットへと再定義された。
Rollin' Stone
アコースティックの余韻を残すデルタ由来の弾き語りブルースから、バンド編成でビートを規格化したブリティッシュ・ロックの原点へ。
Mr. Tambourine Man
ディランの物語詩が、バーズの12弦エレキとビートによってフォーク・ロックの決定打へ再定義された。
Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98: III. Allegro giocoso
19世紀の重厚なロマン派管弦楽を、1970年代の最先端電子キーボードによるマルチトラック多重録音システムへと脱構築・再定義した。
Choo Choo Ch' Boogie
ジャズの華やかさとブルースの躍動が衝突し、踊るためのR&Bが生まれた。
Roll 'Em Pete
都市部クラブで研ぎ澄まされたブギ・ウギが、初期R&Bのバックビート母体となった。
Jumpin' at the Woodside
ビッグバンド・スウィングの洗練が、初期R&B合流のホーン・アンサンブル層を供給した。
Take My Hand, Precious Lord
ブルースと讃美歌の不可逆な結合が、モダン・ブラック・ゴスペルを定義した。
It's Tight Like That
世俗ブルースの3連シャッフルが、モダン・ゴスペル合流の身体性を供給した。
Stand by Me (When the Storms of Life Are Raging)
初期黒人賛美歌が、モダン・ゴスペル合流の信仰詩の骨格を供給した。
Shima Uta
沖縄の歴史と魂を背負った鎮魂歌が、地球の裏側アルゼンチンで国民的アンセムへと劇的な再定義を遂げた。
Holde Schöne, hör' diese Töne
ヨーロッパの華麗な劇中重唱から、浅草の庶民が手拍子で合唱する下町喜劇ソングの金字塔へと再定義された。
Hab' ich nur Deine Liebe
格式高いウィーン・オペレッタのアリアから、大正デモクラシー期の大衆を熱狂させた近代日本ポップス・歌謡曲のルーツへと再定義された。
Tutti Frutti
「A-wop-bop-a-loo-bop-a-lop-bam-boom!」という叫びとともにロックンロールの8ビート規格を打ち立てた原典。エルヴィスによるギター主導のロカビリー的再解釈と、パット・ブーンによるポップス漂白カバーが対比を生んだ決定的録音。
My Grandfather's Clock
19世紀アメリカの生活物語歌が、日本の訳詞と公共放送を経て、平井堅のヴォーカルにより現代のJ-POPバラードとして再定義された。
You Send Me
ゴスペルから生まれたソウルが、サム・クックの美声で全米ポップスの頂点へ到達した。
I Got a Woman
ゴスペルの熱狂とブルースの身体性が1本のレコードに合体し、ソウルが誕生した。
Living on Easy Street
都市部ダンスホールの世俗ブルースが、ゴスペル世俗化のブリッジとしてソウル誕生へ合流した。
Caldonia
歓楽街のジャンプ・ブルースが、ロックンロールの駆動音へと姿を変えた。
It Must Be Jesus
教会の讃美歌だったゴスペルが、レイ・チャールズの世俗化でソウル/R&Bへと「再インストール」された。
Christ Is All (The World to Me)
教会の祈りだったゴスペルが、レイ・チャールズの世俗化でソウル/R&Bへと「再インストール」された。
Hound Dog
黒人R&Bのオリジナル「Hound Dog」が、エルヴィスのロックンロールでティーンエイジャー市場を主役に据える社会現象へ。
Maybellene
伝承曲の骨格とエレキ・ギターのリフが合流し、ロックンロールの原型「Maybellene」が完成した瞬間。
Shake, Rattle and Roll
黒人ジャンプ・ブルースの身体性が、白人バンドのカバーを経てロックンロールのビートとしてポップ市場へ届いた。
Ida Red
同じ伝承曲の骨格が、ウェスタン・スウィングのダンス曲「Ida Red」から、エレキ・ギターのリフを載せたロックンロール「Maybellene」へ。
Sweet Home Chicago
デルタからシカゴへ。都市型ブルースの原型となり、世界で最も愛されるブルース・スタンダード。
Cross Road Blues
アコースティック・ブルースの極致が、のちのロック世代に多大な影響を与えた伝説の一曲。
Pony Blues
デルタの原初ブルースが、弟子ハウリン・ウルフの「Saddle My Pony」として、戦後のシカゴ・ブルースへ受け継がれた。
Crazy Blues
1920年の「史上初のブルース録音」が、2014年のニューオーリンズの路上から、94年後の大衆へ再び歌い継がれる。
Good God Almighty (Field Holler)
同じ労働歌の系譜が、1933年のテキサスから1947年のミシシッピへ。無伴奏の叫び(ホラー)が録音され、世界に伝わるまで。
Duga — Cordes Anciennes
同じグリオの系譜が、1970年の父たちの「古代の弦」から、1999年の息子たちの「新しい古代の弦」へ、世代を超えて再定義された。
Match Box Blues
ブラインド・レモン・ジェファーソンのカントリー・ブルースが、カール・パーキンスのロカビリー『Matchbox』へと決定的に再定義された。
Wildwood Flower
山岳の家庭で受け継がれた英国系伝承歌が、カーター・スクラッチ奏法とともに大衆録音へ定着した。
Jim Jackson's Kansas City Blues
メンフィスのストリート・ブルースが12小節に定式化され、初期ブルース最大級のヒットとなった源流曲。
Blue Yodel No. 1 (T for Texas)
12小節ブルースの骨格に裏声ヨーデルが溶け合い、カントリー最初の大ヒットが生まれた。
上を向いて歩こう (Sukiyaki)
日本語の歌謡曲が、歌詞ごと全編英語のラブ・バラードに書き換えられ、箏を乗せて再定義された一曲。
Dedicated to the One I Love
同じ「Dedicated to the One I Love」が、ガール・グループの職人的ポップから、フォークロックの黄金ハーモニーへ。
What'd I Say
同じ「What'd I Say」が、即興から生まれたR&Bの実験から、ソウルを定義する音楽へ。
That's All Right
同じ「That’s All Right」が、揺れるブルースから跳ねる4ビートのロックンロールへ。
Blue Moon of Kentucky
同じ「Blue Moon of Kentucky」が、揺れるワルツから跳ねる4拍子のロックンロールへ。